蜂の巣がなぜ六角形をしているか
多角形の面積が同じならば、材料を最も少なくしたい

 1月31日付けの日経新聞の「うたの動物記」に小池光さんがお話していた内容を書き写す。
「蜂の巣がなぜ六角形をしているかということは数学の問題である。同じ多角形で平面を埋め尽くすとき、多角形の面積が同じならば、辺の和がもっとも短くてすむのは正六角形であることが証明できる。つまり、材料が最も少なくて経済的にできるるのが(正)六角形の巣だ。蜂は数学者であった。」
今回はこれを証明してみようと思う。

 この問題を考える時
1)平面を隙間なく埋め尽くすためにどうすればよいか
2)そのためには正多角形でなければならないか
3)正多角形の中で、面積が同じならば、辺の和を最も短くできるのは何角形か
を考慮しておく必要がある。
3)の条件を考えるならば、円は一番ふさわしいように思えるが、1)の条件で隙間なく埋め尽くすことはできない。円を3つ持ってきたときに隙間が出来ることは自明であろう。
次に正多角形でなく、蜂たちの其々の思いで作成することになる任意の多角形では、共同作業になりにくいので、最終的には良い巣造りが出来ないだろう。担当のプロデューサがいつもいればよいのだが、蜂の世界ではせいぜい40日しか生きていられない
そうだから、継続して統制をとることは難しい。そこで、決められたルールを守りながら仕事を推進することが、蜂たちにとって一番やりやすくなる。

 1)の平面を隙間なく埋め尽くすために正n角形を考える。正n角形が隙間なくつながるためには、
     2*π/(π‐2*π/n)      --------(1)
が整数でなければならない。隣同士の正多角形が1つの頂点で隙間なく埋められている条件となる。ここでπは角度で表わすと180°を示している。(1)式を変形すると 
     2+4/(n-2)            ---------(2)
と変形され、これが整数であるためには、n=3、4、6の3種類すなはち、3角形、4角形、6角形の3つである。

 次に、正n角形の面積を求めてみると
    S=a*a/2*tan(π/2-π/(2*n))/2*n ------(3)
であらわせれる。Sは正n角形の面積、aは正n角形の1辺の長さである。
また、正n角形の辺の長さは
    L=n*a                 -------(4)
で表わされる。

 (3)からaを求めて、(4)に代入すると
    L=sqrt(4*S*n*tan(π/(2*n)))   -----‐‐(5)
で表現できる。

ここでSを一定として、以前求めたn=3(3角形)、n=4(4角形)、n=6(6角形)の
nの値を代入すると、n=6すなはち6角形の時が、Lが最小になる。
    n=3(正三角形の時)  L=sqrt(4*S)*1.3146
    n=4(正方形の時)    L=sqrt(4*S)*1.2871
    n=6(正六角形の時)  L=sqrt(4*S)*1.2679
すなはち、面積を一定としたとき、辺の長さを最小にするのは六角形である。従って
六角形であれば、巣を作る時、最小の材料ですませることが出来る。
ところで、正六角形の方が正方形に比べて、1.5%材料が節約できる。小額の節約であっても、ちりも積もれば山となるの例え通り、大きな巣になれば相当の材料の節約になる。
ここでsqrtはルートをコンピュータ言語で表現したものである。

〜数学的な考え方は、日経新聞を読むとき色々な場面で遭遇する〜