東山動植物園(名古屋市千種区)で13日午前、新しいサル舎に引っ越しを終えたニホンザル1頭が逃走した。サルはサル舎内にある樹木代わりの鉄柱の上から4.35メートル先の高さ4メートルの仕切り壁をジャンプして越え、同日夜現在も捕まっていない。園側は「想定以上のジャンプ力だった」とサル舎の改修を検討する。同園によると、逃げたのはメスのニホンザルで体長約80センチ。15歳以上と推定され、12年前に大阪府箕面市の箕面山から捕獲されて来たという。(参照:asahi.com)
解説によるとニホンザルの跳躍力は立ち跳びで4mだそうである。
私などは精々で2mであるから、野生の猿の運動能力は高い。
お猿さんの跳躍の能力は、V:初速度、θ:跳び出す時の角度、
t:所要時間とすると、お猿さんの実力は4m以下ということなので
V*cos(θ)*t=<4m・・・・@
着地までの時間は、g:重力の加速度とし風がない場合
V*sin(θ)*t -1/2*g*t^2=0 ・・・・A
から、またθ=45°のとき一番遠く飛べることより、着地までの時間は
t=2*V/g・・・・B
これを、@に代入して、初速度を求めると
V=<sqrt(4m*g/sin(2*θ))
sqrtは平方根を求める演算子またt^2は時間の平方である。またsin(45°*2)=1であり、
地球上ではg=9.8m/sec^2であるので
V=<6.261m/sec・・・・C
(時速22.539Km/hでギアを最上段にした時の自転車並みの速度である。または100mを15.9秒で走る速度である。これは中学生の記録である。)
次に塀を越える時の幾何学的な状況を判断して、先に求めた初速度22.539km/h以下でも、塀にたどり着くことができることを示す。
木と塀までの水平距離が4.35mから
V*cos(θ)*t=4.35m・・・・D
高さ6mの木の頂上から、45°の角度で飛ぶとする、さらに最悪塀にお猿さん(体長0.8m)の手がぶら下がることができれば塀を乗り越えれるとすると
V*sin(θ)*t-1/2*g*t^2=(-6m+4m-0.8m)・・・・E
これより
V>=5.09m/sec・・・・F
あれば(時速18.333km/hである。または100mを19.6秒で走る速度である。これは小学生の記録である。) 塀を乗り越えられるので、好奇心の強いお猿さんはこれに何度も果敢に挑戦して、記録をうちたててしまった。
動物園の管理も大切であるが、お猿さんのニュートン力学への実験・挑戦に称賛を贈るべきである。できれば、無事に見つけられて、おなかいっぱい好物のリンゴを食べてもらいたいと思う。
追伸:
2月3日付けの朝日新聞に「登って飛んで逃走ザル」という表題の記事があり、サルの運動能力は想定外で、「経験値から、『これぐらいなら大丈夫』というので判断している」とあった。ちなみに新聞の写真では、6mの木の中間ぐらいから跳躍したようになっているが、それでは塀を飛び越えることはできない。
ちなみに上記の計算からお猿さんの初速度を最高運動能力の
6.26m/secとして計算すると、塀の高さは6.41m以上ということになり、あと2.41mかさ上げするか、または木の高さを後2.42m以上低くして3.58m以下とする必要性がある。
現在どのような対応をとっているかわからないが、おそらくコストを考えて木の高さを低くしているのでないかと推定する。
また、1月24日上野動物園のお猿さんは高さ4.5mの壁の前でいったん立ち止まり、地面から3m強の高さのところにあるスプリンクラの配管まで駆け上って手をかけ、そのまま塀を乗り越えたとある。体長0.8mとすれば助走なしの垂直跳びで2.2m以上飛ぶことになる。人間のオリンピックの走り高跳びの記録を考えると、助走して体を倒して2.4m位であるのでお猿さんの中には、人間の能力以上のお猿さんがいることになる。あるいは、壁の滑らないところに一度足をかけて、さらに跳躍して配管に捕まる場合は、壁の形状や材質に課題があるかもしれない。この場合も想定外であると記述されているが、お猿さんの最大の運動能力を観測して確かめておく必要はありませんか。さらにお猿さん以外の動物のことも調べておいてほしいものです。
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